ポリオの予防接種

予防する病気
ポリオ(急性灰白髄炎)を予防します。ポリオは、ポリオウイルスによる感染症です。感染した人の便の中に排泄されたウイルスが口から入り、腸に感染して発病します。発病しても多くの人は発熱、のどの痛み、下痢などかぜの症状だけですみますが、約1000人~2000人に一人の割合で、手足にまひを残したり、呼吸困難で死亡する人もいます。日本では予防接種の普及で、現在、流行はありませんが、南アジアやアフリカでは、まだ流行しているため、安心はできません。
ワクチンの種類
飲むタイプの生ワクチンで、スポイトで飲ませます。ワクチンには、ポリオの原因になる3種類のポリオウイルスを弱毒化したものが含まれています。
最近は不活化ワクチンという注射のタイプがあります。
厚生労働省によると、「不活化ポリオワクチンへの円滑な移行に関する検討会」を設置し、移行の方法などの検討を始めており、不活化ポリオワクチンの導入は、可能な限り迅速に行うとし、早くても2012(平成24)年度の終わり頃には導入する予定とのことです。不活化ワクチンの詳細は後述します。
理想の接種年齢
生ワクチンの場合、生後3~90ヶ月までに2回飲みます。めやすとしては、1回目は生後4~6ヶ月、2回目は1歳6ヶ月ごろまでが標準です。1回目と2回目の接種間隔は、確実に免疫がつくように最低6週間以上あけます。
副反応
ワクチンは弱毒化された安全なものですが、腸内でワクチンウイルスが増殖するときに、突然強いウイルスに変わることがあります。そのため、ウイルスが脊髄に侵入して手足にまひが起こることがあります。その数は約50万人に1人程度で、きわめてまれですが、生ワクチンを飲んだ人だけでなく、保護者など周りの人にも影響があることもあり、日本と同じように野生のポリオウイルスの流行していない国々では、ワクチンによる小児まひを防ぐために、1990年代後半から経口生ワクチンを不活化ワクチンに切り替えてきました。日本でも先に述べたように不活化ワクチンへ切り替える予定があります。
不活化ポリオワクチン
不活化ポリオワクチンは値段が高いですが、ワクチンによる小児まひが絶対に起こらないとされています。
生ワクチンによる万一の副反応を考え、不活化ポリオワクチンの導入まで、ポリオワクチンの接種を待っていた方がいいと考える方もいるようですが、おすすめできません。ポリオワクチンを接種せずに様子をみる人が増えると、免疫をもたない人が増え、国内でポリオの流行が起こってしまう可能性が増加します。ポリオ流行のない社会を保つためには、ワクチンの接種が必要です。どうしても不活化ワクチンが良いという場合は、海外から個人輸入している一部の医療機関では有料で接種が可能です。詳しくは接種医にご相談しましょう。
生ワクチンは下痢のときは受けられない
ポリオウイルスは、腸の中で増殖して免疫をつくります。人間の腸では、同時に二種類のウイルスが増殖することは困難です。そのため、下痢をしていると、下痢の原因となっているウイルスがじゃまをして、ポリオウイルスが下痢便といっしょに体の外にでてしまい、免疫がつかないことがあります。下痢のときは見合わせましょう。
しかし、日頃から便がやわらかい子どもの場合、接種当日も普段と同じようにきげんがよく、体調がかわりなければ接種できます。
不活化ポリオワクチンでは、ポリオワクチンで注意が必要な、接種後にウイルスが便に出ることはありません。
接種後に下痢をしたら?
生ワクチンの場合、接種直後に、ひどい下痢をした場合は、下痢を引き起こした病気の種類によっては、免疫がついていないこともあります。会場の医師に相談して、飲み直すかどうかを判断してもらいましょう。接種後30分いじょうたってから下痢をしたときは、ワクチンは、のどの粘膜や腸から吸収されているので、飲み直す必要はありません。
接種した子どもの便から感染?
ポリオワクチンの予防接種をすると、ワクチンのウイルスが便に混じって排泄されます。そのときごくまれに、弱毒化されたはずのワクチンウイルスが元に戻って強力になり、免疫のない家族などに感染することがあります。日本では、1年に1例くらいの頻度で感染し、まひを起こすことがあります。
念のため接種後1ヶ月くらいは、子どもの便の始末のあと、石鹸を使って手をよく洗うようにしましょう。
なお、布おむつなどを使用している場合、洗濯はいつもどおりでかまいません。ポリオウイルスは熱に弱いので、日光にあてて乾燥させれば大丈夫です。
生ワクチンは吐くことにも注意
せきがひどいと、ワクチンが腸にたどり着く前にせき込んで吐いてしまうことがあります。しっかり免疫をつけるためにも、つぎの機会にしましょう。また、ミルクを飲むと、げっぷと同時に吐いてしまうことがあります。接種の前後30分は飲食はやめておきましょう。
また接種後すぐに指しゃぶりをしたり、おしゃぶりを与えると、やはりげっぷや嘔吐の原因になることもあります。おもちゃなどで気をそらせてあげましょう。
不活化ポリオワクチンでは注射なのでこのような心配はありません。
接種後吐いてしまったら?
生ワクチンの場合、1回に飲む量は0.05mlで、この3分の1くらいでも、腸に入っていれば効果はあります。しかし、接種後30分以内に吐いてしまったときは、効果を確実にするために、もう一度飲み直します。会場の医師に申し出るようにしましょう。飲んで30分もたっていれば、ある程度は吸収されているので、あらためて飲む必要はないでしょう。
また、接種後によだれをたらしたくらいで、ワクチンが流れでてしまうことはなく、効果にかわりはありません。
生ワクチンはなぜ2回接種するの?
ポリオのウイルスはⅠ、Ⅱ、Ⅲ型があり、ワクチンにもこのⅢ種類の弱毒化したウイルスが含まれています。Ⅰ回だけの接種では、3種類すべての免疫がつきにくいため、2回の接種で、すべての免疫を確実につけるようにしています。外国では、さらに効果を高めるため3回以上が標準接種回数になっているところもあります。
2回目の接種との間隔
ポリオワクチンを2回接種するのは、3つの型の免疫をしっかりつけるためです。たとえ間隔が何年あいても、生後90ヶ月のあいだまでに2回受ければ問題ありません。最初からやり直す必要はありません。かならず2回受けて下さい。
※免責事項
本ウェブサイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について(最新かどうかも含め)保証するものではありません。本ウェブサイトの使用ならびに閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。ご自身の判断・責任の範囲でご活用ください。また、本ウェブサイトを装ったウェブサイトによって生じた損害にも責任を負いかねます。本ウェブサイトのURLや情報は予告なく変更される場合があります。

0 件のコメント:

コメントを投稿